「Cheese!」で2009年~2013年にかけて連載していた、『黎明(れいめい)のアルカナ』ご存知でしょうか?
王族と亜人(獣の血が混じった人達)の国、セナンとベルクート。
この2つの国が争い始めて、はや200年が過ぎ去ろうとする頃、和平のための婚姻が結ばれました。
南の国ベルクートのシーザ王子の元へ嫁ぐことになった、北の国セナンの王女、ナカバ。
南の国は暖かく、富み栄えているのに対し、北の国は年中寒くて貧しい国…。
ナカバはそんな貧しい国から嫁いだ『赤毛の王女』ということで、ベルクートでは冷遇される立場に…。
そんなナカバを必死に守る亜人の従者ロキと、そんな王族達が皆で蔑む赤毛の王女を好きになってしまったオレ様な王子シーザ。
この3人を軸にした、至極のロマンスファンタジーです。
あらすじ
常に争いの絶えなかった隣国、セナンから王女を娶ったシーザ王子ですが、国民に見せる笑顔とは対照的に、かなりの冷徹キャラ。
ベルクート国でもセナン国でも、王族は黒髪でなければならないのに、やってきた王女ナカバは燃えるような赤毛だったのだから、その冷酷さにも磨きがかかるというものです。
最初は何かあるたびに「お前なんか、いつでも殺せるんだからな」という姿勢で凄んでみせます。
ですが、ロキとナカバの仲良しっぷりを見るにつれ、何度も嫉妬にかられる自分に気づきます。
ちなみにロキは犬系の人間(亜人)ですが、なかなかのイケメン従者。なので、嫉妬する気持ちも分からなくはないですね。
ファンの間では、このロキ派かシーザ派かで意見が分かれるようです。さて、あなたはどっち派?
ちなみにロキ派の方が多少、優勢なような気がしますが、いかがでしょう。
このコミックは長編なのですが、その間にロキが何度も必死になってナカバを救うあたり、ファン心理をくすぐるのかも!
犬の耳も意外に可愛かったりしますしね。
ちなみにラストでは、このロキを中心に衝撃の展開が待ち受けています。
その内容はロキのところでネタバレすることにしましょう。まずは特殊能力を備えた女主人公、ナカバのご説明です。
主人公・ナカバ
王家の血を受け継ぐ、北国セナンの第一王女。『アルカナ』という特殊能力を持つ。
ちなみにアルカナとは過去、現在、未来を見通す能力のことです。
この能力は突然、フッと現れるのですが、映像が見えたと思った瞬間、いつもナカバはぐったりと気絶してしまいます。
そんな特殊能力もさることながら、とにかく赤毛が原因で民衆の前に出ることを禁じられていたナカバ王女。
王族の間でも疎んじられ、イジメられながら育ってきたという暗い過去を背負っています。
遠い昔、まだナカバが幼かった頃、現ベルクート国王の御命により、禁忌の赤毛一族として家族や親族ごと根絶やしにされそうになります。
たまたまロキと離れた所にいたナカバは助かりますが、村にいた王族の血を引く母親は惨殺され、ナカバはひとりぼっちに…。
その後、王家に引き取られますが、その髪色のせいで王族扱いされず、孤独な幼少期を過ごすことになります。
そんな時、いつもロキが側にいて守ってくれたのが、せめてもの救いでした。
ちなみに、ナカバは王族にも関わらず、なぜ一人だけ赤毛なのかと言いますと、お母さんが亜人と駆け落ちして生まれた子だからです。
禁忌の子と呼ばれ、忌み嫌われ、命まで狙われるハメに…。
しかもアルカナなんぞという特殊な能力まで備わっており、それがまた自分自身を苦しめるという、かなり浮かばれない生い立ち(冒頭から少々暗いストーリー展開となっています)。
ですから、嫁ぎ先でシーザ王子から「殺すぞ」といくら脅されても平気な顔で「どーぞ」と言えるんですね。
「自分の国にいたところで、いつ殺されるか分からない運命。だから、ここで殺されたところで、別に構わない。死ぬ場所が変わるだけ」と冷静に言い放つあたり、実に肝っ玉が座っています。
そんな王女に段々惹かれていくシーザ王子と、こちらも嫌々ながらも王子が気になって仕方ないナカバ。そんなナカバを奪われたくないロキ。
この3人を軸にストーリーは展開していきます。
シーザ王子
南国ベルクートの第二王子。兄の嫁とは昔付き合っていた仲。
国民にはとびっきりのスマイルを見せる反面、そのオレ様っぷりはハンパなく、冷酷にナカバを振り回します。
亜人ロキをライバル視するあまり、馬上で槍を使っての決闘をしますが、あえなく惨敗…。
「そういえば、子供の頃のシーザ様は犬に噛まれて大泣きされてましたよね。もしや犬はトラウマですか?」
などと、お付きの人にツッコまれるなど、オレ様キャラな中にも、どこか憎めないところがあります。
王位を継ぐのは長男ですが、その兄は側室の息子でシーザ王子は正室の息子であることから、王位継承争いに巻き込まれますが、本人は王位を継ぐ気はないと、最初から主張し続けています。
そういった、意外に欲深くないあたりもポイントが高いかもしれません。
常に『オレ様』という直球しか投げられない、威張りくさったシーザ王子ですが、ファンが多いのも頷けます。
さらにイケメンで黒髪、高貴な王族身分でありながら、不覚にも赤毛のナカバを好きになってしまうあたり、ギャップにやられる人も多いのでは…♥
ロキ
獣の血を受け継ぐ種族、亜人。
力のない小さな亜人は人間の奴隷として一生を捧げ、ロキのように強い亜人は重要な兵力として人間に仕える定めの種族です。
ちなみにロキに流れる獣の血は犬。ですからロキの耳は三角形の可愛い犬型です。
さて、このロキですが、やけに謎が多いように描かれています。
読み進めていくと、後半でようやくロキの出生の秘密が明らかになります。ですが、その前にこのロキの命運が尽きてしまいます。
実はロキもまた王族の血を引く運命の亜人。つまりナカバとは兄と妹という間柄だったのです。
母親は王族の黒髪を持つ人間ですが、父親が犬系の亜人で、兄ロキは亜人の容姿を持って生まれ、妹ナカバは人間の容姿を持って生まれたのです。
子供の頃からナカバを守るようにと言われていたロキなので、いつも必死にナカバを守っていたというワケなんです。
しかも、この兄もまたナカバが持つ特殊能力、アルカナを持って生まれてきました。
兄の方は、このアルカナを使い果たしてしまって、力尽きてしまうのですが、その兄の死を知ったナカバが可哀想過ぎる…。
ロキファンの方達にとっては衝撃過ぎる展開だったのではないでしょうか。
そんな衝撃あり、甘いロマンスありの極上ファンタジーワールド。ハマる人、続出中です!
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